だって世の中だもの

セーラームーンの感想のみ

#31 恋されて追われて!ルナの最悪の日

ルナ回かつゾイサイト回でレイちゃん回。
だいたいこのくらいの回になると、これまでのお約束を使ったセルフパロディが出てきます。これをスカイドン現象といいます(嘘)。
そこに目が行きがちですが、じつはこの回、秋の空気の描写が一番見どころかも。

MX 2022年11月2日再放送(放送開始30周年記念)

  • アバンタイトル、ミミズとオケラとアメンボとレイちゃんを一緒にするうさぎ。あとで怒られるぞw
  • バラの音(て何?)がして魚の骨が刺さった後、タキシード仮面のテーマに乗ってレッドバトラー参上。彼が乗っているトラックはいわゆるデコトラ。最近見なくなりました。興味が合ったら『トラック野郎』を見よう。
  • ルナのしっぽにかみついていたやたらかわいい猫。話に絡んでくるのかと思いきや、まったく無関係。今週は隅々まで凝ってます。
  • 日曜日に公園で待ち合わせ。背景の4本の木、わざわざ4本とも葉の有無と色を変えています。
  • かわいい私服で集まって、レイちゃんがデートを理由にパスして、やることは作戦行動なわけですが、もともと今日は仕事と遊びとどっちの予定だったんでしょう? ルナがレイちゃんに使命使命と怒りそうなもんですが……。
  • レイちゃんがデートと聞いて、うさぎがしばらく黙った後で「なに!?」。この間はなに?
  • そのレイちゃん、電話ボックスから衛に電話。ダイヤル電話が絶滅したころなので、トーンを強調。7音発信されてます。当時すでに都内の電話番号は8桁でしたから、トーンの音程から衛の部屋の電話番号を割り出すことは困難です。頭に3付けたら当たりかも。
  • 呼び出し中のどきどきレイちゃん。公園からここまでのBGM、トランペットのジャズっぽいのなのが印象的。中2が目いっぱい背伸びした日曜日のワクワク感にあふれています。この曲とこの空気が好き。とてもセーラームーンらしいです。
  • 衛は留守電。携帯電話がない生活における留守電の存在感。知りたい人は、平松愛理『もう笑うしかない』、桂正和電影少女』なんか(他多数)をどうぞ。
  • 名乗ってから次をしゃべるまでに間が空いている留守電メッセージ。こうすることで、レイちゃんみたいに相手にしゃべらせるという姑息なテクニックです。対話型留守電ってのもやる人もいました。「はい○○です。……おう、久しぶりだな。……ああ、それでさ、俺今留守だからさ、メッセージ入れといてくれや」みたいな。
  • 衛の電話はSAMYO。昔サンヨーって会社がありました。サッポロ一番とは関係ない。とてもリアルなので検索して調べてみたら、TEL-L750という機種が近い。
  • レイちゃんの留守電メッセージ。「あ、もしもし、レイちゃんです」はもう置いといて、「あるお店でとっても珍しいケーキを見つけたんで、一緒にどうかなーと思って。ティラミスっていうんです」。
    このときめきいっぱいのメッセージをセリフとして残した脚本の人? が素敵。このころティラミスが話題になったことも、「スイーツ」という言葉がなかったことも、そんな1992年の空気がそのままアーカイブされてます。
  • そんな恋にあふれたメッセージが聞かれないのが切ない。衛が電話に直接出なかったのは、その前からベランダにいたからだと思いますが、虹水晶で考え事とはいえ、その後の留守電もすっぽかすとはひどいなあ。そんなに気はないみたいです。片思いならますます切ない。
    とはいえ、当時携帯電話はないので、レイちゃんは留守電に場所と時刻を伝えて待つしかありません。衛がそこに行かなければ、すっぽかしたとはばれないのです。いい時代でした。
  • レイちゃんの電話だけで長々書いてしまった。このシーンがとても好きです。
  • 最後の虹水晶の場所を亜美ちゃんのコンピューターで。画面に今回の話数と同じ「OPERATION NUMBER 31」と表示されます。その下に表示されるのはレースドライバーの人名らしい。
  • レースと言えば第25話。F1ハンガリーグランプリの本が小道具に出てきたりします。原画スタッフにお一方、両方に名前がある人がいます。あやしい。
  • コンピューターが指示した小原杏ちゃんの家へ。これまたお金持ちそうなお宅です。階段の手すりの柱とか、外国系テーマパークじゃないんだから。
  • 杏ちゃん家の窓にレッドバトラーを発見したルナが訪問辞退。うさぎがつり目を作ってルナいじり。
    「ルナちゃん、これは大事な使命よ、もっと自覚を持ちなさい」
    「あたしはそんなにブスくないわよ」
    誰もルナのモノマネとは言ってないんですが、自分がお小言猫だという自覚は十分あるようです。
  • 1匹になったとたん、ふたたび野良猫軍団に囲まれるルナ。公園では野良猫の縄張り争いと説明してましたが、絶対それ以外に何かしただろお前w
  • 3人で杏ちゃん家をピンポン。面識のない人のお宅をアポなし訪問してますが、何の因果か、これが初回放送された1992年11月7日の少し前の10月17日に、日本人留学生射殺事件(通称フリーズ事件)が発生しています。よく放送できたな。知らない人は一度は検索しよう。
  • レッドバトラーがルナの危機を察知して走り去る。その背景の「DPE」(写真の現像)の看板。この番組、第15話ときどきDPEが出てきます。どうでもいいんですが印象に残ってしまってます。
  • レッドバトラーを追ってゾイサイトに捕まった杏ちゃんは虹水晶を持っていない。持ち主はレッドバトラーだった模様。「最後の最強妖魔は人間に転生しなかったんだわ」。普段どおりオネエしゃべりですが、ここの独り言は精悍でかっこいいです。
  • 問題の箇所。キン肉マンでバスから降りるところみたいになってる3人のセルフパロディ大会。ひっくり返ったマーキュリーのうしろのジュピターで視聴者をニヤニヤさせるところも怠りません。最初に驚いたあとで改めて凝視してるし。セーラームーンの指がマーキュリーの鼻に入らないあたりで、描いてるほうに理性が働いた模様。
  • マーキュリーの目が4つになったあと1コマだけ、マーキュリーのかかとがセーラームーンのあごにヒットしてます。
  • シュープリームサンダーを放ちかけてやめるジュピター。あのまま続けたら、両手を壁に強打したと思います。
  • ひとしきり見たあとで、一人ずつどういう順序で入ってきてあの姿勢になったのか想像していくと、笑いが止まらなくなります。見れば見るほどひどい。
  • あきれて猫の方に向かうゾイサイト、下水に足を突っ込む。「これは、ゾイサイト最大の試練かも知れない」。今週は主役があっちこっちにいる群像劇風。ゾイサイトも当時ずいぶん人気があったんだろうなあ。

  • 気を失った杏ちゃんを連れて、両親がいないまま勝手に上がりこむ3人。勝手に部屋を物色するうさぎ。世の中このくらい平和であってほしいです。
  • 「こんなところにセーラーVちゃんのカセットゲーム」。驚きのあまり1コマ撮りで振り向くうさぎ。さりげなく女座りの見返り美人という視聴者サービス。
  • ちなみに、当時はカセットゲームという言い方はしませんでした。この辺は、まだテレビゲームネイティブ世代が業界に少なかったのかもしれません。
  • 衛を探してさまようレイちゃん。背景の店の名前が「SEEKER」。衛が行きそうな場所は見当つけてるのかもしれませんが、通信機器なしの徒歩で、大東京の中から人ひとり探し出そうというのは、執念です。
  • 先週加わった雄一郎をさっそく有効活用して、レイちゃんと遭遇。振り向くレイちゃんがまた見返り美人
  • 会話するレイちゃんと雄一郎のうしろのポスターが、展開に合わせて変化しています。
    「いまだ!! チャンスだ!!」→「それでいいのか!?」→「あばよ、さらばだ。」
  • 雄一郎に去られたレイちゃん「風と共に去りぬ……てか」。それで今さら気がついた。言われてみれば杏ちゃんが小原で猫がレッドバトラー。『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラとレット・バトラーです。そういえば、序盤でルナが「レットバトラーって顔じゃないわねえ」って言ってます。全部氷解。
  • 元ネタに出てくるのはレッ「ト」バトラーで、ルナも「レットバトラーって」と発音していますが、スタッフロールでは「レッドバトラー」です。
  • それにしてもレイちゃん、衛を求めて日がな一日徘徊するほどの割には、別に雄一郎でも構わない様子なのが興味深い。先週はキスもしたし、この子の恋愛観念って、どんななんでしょう?
  • レッドバトラーのけがを案じつつ、好意は嫌がるルナ。ネズミに追われつつルナ達を追うゾイサイト。いちいち「ずぼっ」って言いながら横穴に入るみなさん。ギャグ回に大人っぽさを添える、ジャズ調の洒落たアクション曲。一応この人たちが話の軸のはずですが、地上のレイちゃん班とうさぎ班が面白いので食われてます。
  • 気づけばもう夕焼け。とうとう一日中衛を探したレイちゃん。ちょっと切ないけれど、これはこれで楽しい青春の一日ですが、感想が「やっぱり雄一郎とデートしとけばよかった」。うさぎみたいな子だ。これもこれで切ない。
  • 杏ちゃん家でルナの安否を心配する二人と、セーラーVゲームに必死のうさぎ。1コマ撮りでボタンを連打してます。24FPSですから、ふつうの持ち方で親指で毎秒12連射です。名人も真っ青だ。
  • ムーンスティックが杏ちゃんに反応していないことに気がついた亜美ちゃん。「どうしてもっと早く気付かなかったのかしら」のしゃべり方が妙に色っぽい。
  • 亜美ちゃんとまこちゃんがまじめな話をしてる手前でゲームにハマるうさぎの、とり憑かれたような目がヤバい。社会風刺か何か?
  • ゲームオーバーになった時点のスコアがその前より低下してます。6850点の画面を使いまわし過ぎだ! いやわからんぞ、『ゲバラ』(SNK/1987年)みたいなマイナススコアフィーチャーかもしれません。もしかしたらオーバーフローした可能性も残されています。12連射の名人を甘く見ないほうがいい。
  • ところでコミックのほうではスコアランキングの2位に57300ptsが入っているところがあります。開発元がコナミなのかもしれません。作者はこれ意識して入れたんだろうか。
  • ゾイサイトがレッドバトラーを追い詰めたところで「愛と正義のセーラー服美少女戦士、セーラーマーズ。ただいま参上!」とうとうこいつも自分でセーラー服美少女戦士って言いだした。
  • 先週はレイちゃん回なのに変身しなかったので、あらためて尺をもらって、折檻ポーズも披露。でも変身シーンは省略。今週は誰の変身シーンもありません。これは初めての事例です。
  • じつはレイちゃん、最後に変身シーンを披露したのは10話も前の第21話です。見返してみると、ほかの戦士も意外に変身シーンが少ない。
  • やっとレッドバトラーから虹水晶が回収され、序盤に意気込んでいたタキシード仮面が唐突に確保。この場面、この尺でこいつを使って笑いを取るのが困難と判断されたのか、ものすごくテキトーです。だってもはやマーズがノーリアクションですよ?
  • 元レッドバトラーの妖魔が街に出るのをルナが阻止。すべったルナを妖魔が助ける。マーズはカップル完全認定。作画監督渾身のシリアス顔で笑わせに来ます。
  • 助けてくれた妖魔に「うさぎちゃんが、元の姿に戻してくれるわ」とルナ。どんなとき誰が誰をどう呼ぶかで、そのときの心理や立場や二人の関係を想像させてくれます。このあとゾイサイトもいないので、みんなセーラームーンをうさぎちゃん呼びです。
  • まこちゃんの「うさぎちゃんがテレビゲームやってたせいじゃないのよ」のしゃべり方がちょっとレア。
  • 「こーら、漫才やってる場合じゃないでしょ!」ルナも戦士が増えれば増えるほど気苦労が増してる気が……。
  • 虹水晶を最終的にだれが獲得したのか、明確に描かないで終わるというのが今週の笑いの締め。なにしろ、残った尺をそこに回さず、夕焼けに浮かぶレッドバトラーで埋めています。哀れタキシード仮面。
  • 第28話で、ゾイサイトクインベリル様に、最強妖魔を失ったことについて叱責されていますが、結局最強妖魔は全滅してしまいました。大丈夫なんでしょうか?