だって世の中だもの

セーラームーンの感想のみ

#87 愛と未来を信じて!うさぎの決心

邪黒水晶に乗り込む戦士たち。サフィールに代わりデマンドに大切なことを伝えるセーラームーン。彼らを抹殺しにかかるワイズマン。激動のシリーズを通して心の成長を遂げたセーラームーンが描かれる。わけなんですが、見方を間違えると一部に笑いどころが。

(1)TVK 2022年9月10日再放送
(2)MX 2023年12月6日再放送(放送開始30周年記念)

1回目に見たとき、視聴している順番が、まだ無印を中盤までしか見ていなくて、なので独特の緊張感がありました。今週は特にノリがちがう。

  • アバンタイトル、どんなにシリアスになっても曲が変わらないのがいいです。むしろこのほうが「殺されたサフィール」とか過酷な言葉とのアンバランスで展開の深刻さが浮かび上がります。
  • 急ぐうさぎを呼び止めるなるちゃん。最近影が薄かったし、未来編からは話にまったく絡んでないので、今週は結構唐突に感じます。
  • うさぎの正体に気づいているっぽい会話。それゆえできることは、明日を約束して送り出し、「うさぎたちを守って」と祈るのみ。うさぎの身が心配なのはもちろんだと思いますが、その大切なうさぎが、いつも自分が傍にいるつもりだったのに、遠くに行ってしまうような気がしたんでしょうか。そうならば、最近シリアス続きの展開を見ている視聴者を代弁しているようにも思えます。
  • ちなみにどのくらい影が薄いかというと、英才塾の第80話以来7話ぶり。レギュラーから被害者役まで格下げされて久しいですが、今週のなるちゃんは、かつての「うさぎのパートナー」としての最後の姿なのかもしれません。
  • サフィール殺しを追及するデマンドに対し、地球侵略を大義名分に「その理想を裏切るものは処分すべし」と誤魔化すワイズマン。デマンドも、スメロードの死をサフィールが不審視したとき、「やつらに復讐するためなら、誰の命だろうと惜しくはない」って言ってるんで、おまいうになってます。
  • 邪黒水晶の前に集合する一同。

    周辺の背景、どっかで見た気がすると思ってたんですが、思い出しました。あれです。『ポールのミラクル大作戦』です。だから見てて胸騒ぎがするんだな。
    (古すぎるんで参考)
  • 「ようし、変身して突入だ」と血の気の多いまこちゃんに応えて変身しようするうさぎを止める亜美ちゃん。何か作戦か! と思わせといて。
    「今までありがとう。もう一度、みんなでクラウンのケーキ、食べたかったね」
    最初見たとき、ちょっとショックでした。かつての敵の素性も知らなかったときから、未来への旅を通じて、なにか胸騒ぎがしたのか。だとしても、青春真っただ中の女の子が、こんなこと告げられるものでしょうか。
  • 最初から通して見てると、「死んでたまるもんですか」とか「あなたが死んだら悲しむ人がいるってことを忘れてない?」とか、生き抜くことを一番よく口にしてきたのが亜美ちゃんです。
  • 子供のころってこういう、「運命に殉じて命を投げ出す元普通の人」に憧れたりしませんでした? 上手く言えませんが、選ばれし者の恍惚と不安というやつです。このセリフは視聴者から笑顔を消し飛ばすのに十分です。
  • 脱線しますが、クラウンという名前、コミックではパーラーとして出てきますが、アニメだとゲーセンの名前でしか出てきません。第69話で衛が元基にフラれ方の相談をするときに店は出てきますが、名前は出ません。なので1回目に見たときは何言ってんだかわかんなかったのでした。
  • 改めて、ルナとアルテミスの見送りに応えるうさぎ。第1話と同じポーズで「おっし、まかせといて」と妙にノリが軽いのがむしろ切ない。無事帰ってくるつもりなんだと思いますが、聞き方によってはさっきの亜美ちゃんみたいに聞こえます。
  • 最近変身しっぱなしだったりしたので5話ぶりに変身シーン。噛みしめたセリフに、曲を切らさずに邪黒水晶の成長日記を挟んで、佳境を煽る。しかしもう何遍も見てるのに、しっかり観るといまだに目が潤んできます。絵も曲も音もほんとによくできてるなあ、これ。
  • 変身が終わって5人並んだ引きの絵が、みんなそろってカメラに向かって変身完了ポーズw 第1話でも思ったんですが、やっぱりみんな、イメージじゃなくて実際にくるくる踊りながら変身してるんですね。妙なとこで笑っちゃった。
  • 邪黒水晶の光で頬に傷を受けるのも構わず、決意を叫ぶセーラームーン。もしかして、第1話とか第9話とか、最初のころ流血して泣いていたのと重ねているのでしょうか。
  • 潜入早々単独行動して落ちるセーラームーン。娘も年中失踪するだけあって、この娘にしてこの母ありです。顔色一つ変えずに捜索を始めるマーキュリーが「あの子はこういう子だから」みたいな感じでほほえましいです。

  • セーラームーン、デマンドと再会。暗示にかかりかけながらも、衛の名を呼ぶ。その心に狼狽し、体をゆすって言うことを聞かせようとするデマンド。その暗示ってゆすってどうにかなるのかw
  • ほら、ゆすったショックで正気に戻ったじゃないか。セーラームーンの目が点滅しながら元に戻るのが、電池が切れかけた家電をゆすったみたいに見えて、こんなシーンなのに申し訳ないんですが妙な笑いが……。
  • 一度見たあと見返したときに、「電池が持ち直してきた」「また切れた」とか言いながら見てたら、変な境地に入ってしまいました。すみません。だってデマンドがゆすって直そうとするからいけないんですよ!
  • 「デマンド、こんなやり方で私を手に入れても、愛までは得られないわよ」って、なんか堕とされる人みたいなこと言ってますが大丈夫か。ほら、ほんとにまた電池切れ暗示にかかった。
  • 暗示に膝から落ち、忠誠を求めて手を差し伸べるデマンドにか弱い声で応え、手の甲に唇を近づける虚無目のセーラームーン。ちょっとだけNTRで悪堕ちさせてみせるとはなんて視聴者サービスだ。1回目に観たときはそんな冗談とても出てきませんでした。正視するのがつらいシーンです。胸が張り裂けます。
  • 仮面を取ったタキシード仮面に「はいぃ」の返事。黒ずむ口許。舌噛んだ? あのドジうさぎとは思えません。
  • デマンドにおしおきならぬお説教を始めるセーラームーン。声がいつもと全然違うし、「愚かなデマンド」なんて、そんな単語この子普段使わないし。なるちゃんと視聴者の不安をよそに遠くにすっ飛んでます。
  • 「拒んだのはお前たちのほうだ」そうだそうだ!
  • ワイズマン陰謀論に納得するデマンド。BGMが神がかってる。サフィールの件とかがありながらも、ここまでは信用していたようです。エスメロードの期待をよそに、悪の首領にしてはお人よし。そんなデマンドの人間らしさに目を付けたワイズマンが一枚上手でした。
  • 「このプリンスデマンドを獲れるものなら獲ってみるがいい!」やだかっこいい。ワイズマンの黒い放射に対してデマンドが白い放射。急に正義っぽくなった。
  • 「地球を滅ぼし世界を暗黒にだと? そんなことはさせん!」デマンドは地球を奪還したいわけですから、全消しを望むデスファントムは彼にとっても悪です。そこにまた一つの正義があります。戦争なんてそんなもんだ。
  • セーラームーンをかばい、怒りと誇りの反撃でワイズマンを攻撃ごと消し飛ばすデマンド。サフィールの言う通り(第84話)、この人、その気になったらみんなまとめてひとひねりなんじゃないの? セーラームーンも、皮肉にも悪に愛されたがゆえに助かったようです。
  • その善堕ちしたデマンドですが、さりげなくおさわりしています。悪の鑑。
  • サフィールセーラームーンの愛の前に、今際の際に正気に返るデマンド。
    「我が一族を、地球に移住させることが、私の望みだった。そのためには、私の命を賭けても惜しくはなかった」
    その「私の命」が、前出の「誰の命だろうと惜しくはない」になってたと。
  • 「いつの間にかワイズマンに欺かれ、多くの犠牲者を出してしまった」
    うしろー! 欺かれ続ける男デマンド。
  • 早くも友達になったみたいに「デマンド! プリンス・デマンド!!」と名を泣き叫ぶセーラームーン。ルベウスのときもこんな感じでしたが、こうじゃないとクイーンとか務まらないのかも知れません。そしてまた、2週続けて守るべき人を手の中で失う中2。
  • ワイズマンがセーラームーンに、まもちゃんとちびうさがいちゃいちゃする絵を見せて、あとはちびうさと同じようにアクマイト光線で悪堕ち一丁上がり……の予定が、二人を信じるセーラームーンに通じず。
    「なぜだ……なぜかからん」
    ちびうさみたいにヤバい隠し事してないからじゃないですか? アクマイト光線は悪の心がないと効きませんから。
  • 「死ね!」と気合十分のワイズマンが放つ、デマンドに致命傷を与えた攻撃を、バラ一輪で消し飛ばすタキシード仮面。毎度のことですが、あんた何者なんだ。
  • 結構レアな曲(ウェディングドレスコンテスト)に乗せて、第76話の(変な口上が入ってた)ポーズから、第40話の集団ポーズで決める4戦士。
  • そしてここでもカットが変わった直後に集団決めポーズから立ち上がってるw 今週はこだわってるなあ。
  • タキシード仮面の救援、4人の到着、いつもの曲で急にいつもの番組に戻ってきたぞ! でもこれもきっと、これで見納めっていうメッセージか……。
  • 「すべてが射干玉の闇に帰するがよい」射干玉(ぬばたま)って聞いたの古文で暗記したとき以来だわ。字は忘れてたけど。黒を表す枕詞です。
  • 「暗黒ゲートの中心が見つかった。急ごう」。タキシード仮面、ちゃんと仕事してました。こんどのセーラームーンの「はい」はさっきと違ってしゃんとしてます。
  • ブラックレディが立ちはだかってつづく。次週、4人の見せ場はあるのか。セーラームーンは地球を、未来を、なるちゃんとちびうさを守りきれるか?
  • ところで、集合した5人中4人が制服です。
    話を整理すると、未来に旅立ったのがおそらく土曜日の朝(学校週五日制が本放送の前年度から始まってます)。夜に戻ってきて、うさぎん家に私服で集まったのが日曜日。一部住民は避難したものの、月曜日に学校はやってて、サボる訳にいかないから登校するも、うさぎは授業なんか上の空。帰宅したらカバンだけ放り投げて、着替えの時間も惜しんでダッシュ。そんなうさぎの教室での様子を心配したなるちゃんが何か察して、彼女がいつもたむろしている火川神社に様子を見に来たら、走ってやって来たと。よくできてるなあ。