だって世の中だもの

セーラームーンの感想のみ

#45 セーラー戦士死す!悲壮なる最終戦

第24話に続いて、今でいうタイトルネタバレですが、個人的には気にしない。もういい歳なので、初見は1回見ただけだと全部消化しきれませんでした。もう1回見たら、どれだけ衝撃的かよくわかりました。こんなん、サブタイトルに何書かれても影響ないです。

MX 2023年2月8日再放送(放送開始30周年記念)

  • 月野家のキッチン。未使用のニンジンや作成途中で放棄されたサラダが目を引きますが、そのサラダの残骸が入っているボウルの装飾に注目。今週の作画監督は第5話や第37話の人ですが、この人はこういうところに月野家の裕福さを押し出してきます。あの形の鍋もポイント高い。
  • 月野家の夕食がうさぎ作カレー。月野家流はマダコとか入れるのか。うまいかおいしいかどっちだと思って見ていたら、辛い。「見栄えは悪いけど味は本格的なのよ」と言っていますが、市販のルーではなくてスパイスの調合から始めたのだとしたら、料理下手あるある、もとい見上げた根性です。途中でうさぎのテーマ曲がフェードアウトするのが笑えます。とにかく、苦手な人参の皮むきだって頑張ったし、これで思い残すことはなくなった。
  • 細かいですが、スプーンの下敷きのナプキン。そもそもレストランでもないのにナプキンを敷く時点でおしゃれな上に、この折り方です。さらに、何気にガーリックチップのせ。うさぎが普段食べているママ製カレーに入っているんでしょう。ママと作画監督がかなりの凝り性です。
  • 火川神社に全員集合。カレーの水杯まで交わしてきた割にノリが軽いうさぎ。レイちゃんには雄一郎とキスしておかないのかと、最悪のことを軽く心配。まだ現実感に欠けている感じ。
  • 「もしものことなんて考えるのよそう」
    「あたしだってこれが済んだら、思いっきり恋をしようって思ってるんだからね」
    本放送当時は、ようやくゲーマー「フラグ立て」みたいな言葉が広がりつつあったくらいで、お話に対する「○○フラグ」みたいな言い回しはまだ無かったような記憶があります。
  • まずは変身。無印としては見納めと思われます。むしろ、今週いちど出直すとは思っていなかったので、見られてラッキーです。亜美ちゃんとまこちゃんなんか12話ぶりですよ。
  • テレポートで北極圏のDポイントまで移動。もうなんでもアリだな。コミックでも移動はテキトーに描かれていますけど。
  • 北極は季節柄極夜だろうとツッコもうと思ったのですが、本放送された2月20日に極夜であるのは、おおよそ北緯85度以上のようです。コミックだと、ポイントCが北緯72度とされているので、微妙なところ。
  • 引き続き妙にノリが軽い一同。演出的には、それこそなんちゃらフラグです。
  • ここから先、20分かそこらでいろいろ起きるわけですが、途中を省略したような描写がありません。つまり劇中の戦士たちは、同じ時間でこれらを経験するわけです。
  • 四天王はおらず、エンディミオンも顔を見せず、人員の補充もないので、クインベリル様が直接下っ端どもから勇士を募集。そういえば昔、テティスとかいうクインベリル様直属の妖魔という設定がありましたが、あいつ一人で終わりだったんでしょうか。たしか昔ジェダイトに「お前の代わりはいくらでもいるのだ」って言ってたけどなあ。
  • DポイントだけにDDガールズとやらが名乗りを上げる。当時C.C.ガールズというのがおりまして。
  • 吊り下げられるタキシード仮面の姿を見て飛び出すセーラームーン
    「こら妖魔! よくもだましたわね! 引っかかりやすいわたしも愚かだけど、すぐに乙女の純情を踏みにじるあんたたちはもっと愚かよ! だって、だって、あたしを本気で怒らせちゃったんですからねっ。こうなったら」「長いっ」
    レイちゃん怒らないで、中の人もまだ慣れてないから。
  • 再び吊り下げられたタキシード仮面の姿を見せられるセーラームーン。「ふん。二度も同じ手に引っかかるようなおっぺけぺーがいるもんですか、って、言ってる傍から引っかかるんじゃないわよ!!」レイちゃん、おっぺけぺーとかどこで覚えてきたんだろう。
  • 妖魔がジュピターに絡みつき、周りは助けも出せない。そのまま妖魔を道連れにするジュピター。助けようとするセーラームーン
    今まではみんな助かってきました。なんだかんだ言ってうまくいってきました。タキシード仮面も命は助かっていました。そのつもりで手を差し伸べる。
    うさぎ一人だけ、すでにもうジュピターではなくまこちゃん呼びになっています。
  • 泣き崩れるうさぎに、「さあ、行くわよ」と絞り出すように告げるヴィーナス。気丈とも非情ともつかない。すさまじい決意と意志です。
  • 半ば錯乱したように銀水晶をあげると言い出すうさぎ。かつての衛のときのように、大切な人を失う恐怖から逃げようとします。さっき言い放ったばかりの本気で怒らせたという言葉がゴミのようです。
  • 「あたしは死んだりしないわ」と約束してうさぎたちを送り出すマーキュリー。
    「さあ、いらっしゃい」
    「あたしにもこんな幻を見ることができるのね」
    「さっさと焼き豚におなり」に対する「失礼ね」
    このへんの洒落、うさぎとの約束を守る希望があるのか、もはや居直っているのか。いずれにせよ、第8話からここまで見てきて、亜美ちゃんは意外に粋な性格なんだと感じます。
  • 亜美ちゃんが約束を破ったことを悟って崩折れるうさぎ。その間にも下から捕まえようと忍び寄る妖魔。なんら容赦がありません。
    1回見終わってから録画を見返したときに、このシーンで、これらは短時間に起きているのだとやっと気がついて、この話が若干理解できた感じです。子供なら、「死んじゃった」の連続だけでも十分インパクトがあると思いますが、もはや死に鈍感な大人なので、こういう分かりやすい描写をしてくれていて助かります。
  • かつてのように「いちいちピーピー泣くんじゃない」と叱り飛ばすレイちゃんに「だって、だって、あたし、こんなことになるなんて」。
    カレーを振る舞ったりレイちゃんを焚きつけたりしていましたから、それなりにこんなことも頭では考えたはずです。それでも現実の前には覚悟が甘かった。カレーは激辛だったのに。
  • むしろ彼女を守る4人の意志がすごすぎます。使命とか覚醒とか守護だとか言ったって、なにが中2にここまでさせるのか。
    人間、一度高揚してしまうと、今でいうゾーンに入った状態になって、死をも恐れなくなることがあります。なるちゃんみたいに。
  • なるちゃんといえば、妖魔が体から出すツタみたいなのが、かつてネフライトを突き刺したあれに似ていますが、わざとでしょうか。
  • セーラームーンを妖魔からかばって引きずり込まれるヴィーナス。
    「銀水晶はあげるから、美奈子ちゃんを離しなさいよ!」と、強がる口調で懇願する彼女に「そんなことしたら許さないから!!」と怒鳴りつけたのが最後の言葉です。怒鳴ろうとひっぱたこうと、セーラームーンだけは送り届けなければなりません。
  • 「わかった、あとはあたし一人でやるから」と、レイちゃんにすがりついて頼み込むうさぎ。
    いなくなる前から「死んじゃやだ」と泣くうさぎに「やーねー、死ぬって決まったわけでもないでしょ」
    これをギャグ顔で言うには、相当な精神力と優しさがいると思います。
  • セーラームーンを残して「じゃ、ちゃちゃっとレイちゃん、やっつけてきまーす」と、死出の旅路へ向かうマーズ。「ちゃちゃっと」あたりの声が震えています。
  • 虚無目になって妖魔を避けようともしないうさぎ。彼女がまだ戦っているとわかって気を持ち直しますが、終始無表情か呆気にとられた顔です。希望を抱いたというよりは、終わりへの過程を見届けているだけに見えます。
  • 一人残されたうさぎの背後に現れて励ます4人。マーズに「うさぎ、立って」と言われて「はい」と立ち上がるうさぎ。見てるこっちの背筋も伸びるようないい関係です。
  • 希望を抱かせるような『HEART MOVING』のインストが、よくある「助かりそうなやつが助からなかった」的な感じでぶった切られて、エンディミオンが息を吹き返したところで以下次週。結局今週はエンディミオンクインベリルのところにはたどり着かず。1話かかったとも1話しかかからなかったとも、どちらとも言い難い。
  • 次回予告、先週も観ていて思ったのですが、「月の光は、愛のメッセージ」というのは真似するのが難しいみたいです。特に最終回とかは言わなかったので、その次以降は同じ番組の改題という扱いになっているようです。テレビしか見ていない人はこれらのことも知らないはず。本放送時はCMで新番組同様に告知したりしてたんでしょうか。
  • 今週のDDガールズという5人組の妖魔ですが、罠を仕掛け、集団の敵を一人一人狙い、全員の連携で確実に血祭りにあげ、仲間が倒されても一顧だにせず、地の利を利用し、孤立した敵や戦意を喪失している敵から順に狙い、降伏を拒否し、あくまで殲滅を狙い、個々の実力が高く、最後に油断した以外は、引くほど冷徹で合理的な戦術を駆使しています。四天王など比較になりません。
  • 裏を返せば、セーラー戦士たちには彼らのような準備がなかったようです。相手の土俵で翻弄されています。向こうと違って相手の出方も人数も分からないという不利な状況ですから仕方のないことですが……。あれだけの堅い覚悟と意志があったんですから、情熱と対になる行動がなにか取れなかったと、外野からは悔やまれてなりません。