だって世の中だもの

セーラームーンの感想のみ

#160 大人になる夢!アマゾネスの当惑

お互いの正体を知らない計10人がボランティアで心を通わせ、一方で衝突する。こんな風に敵に感情移入させられ、敵の心理的欠点を浮き彫りにしてくるということは、フラグじゃありませんが佳境が近い。

YouTube 2023年4月28日(劇場版公開記念)

  • 「お仕事は簡単とかよりやりがいが大切なんじゃないかしら」と言ってみんなを成人式のボランティアに誘い込むブローカー美奈子。「なんかわかんないけどすごい」と鵜呑みにするうさぎ。「仕事はきつくて大変だけど、みんなでやりましょうってことよねえ」と見透かすレイちゃん。「それにバイト料のことに触れないのは、よっぽど安いって考えるべきね」と冷静に分析する亜美ちゃん。今でいうブラックですが、当時はそんな言葉もなく。これに限らず、誰かの話は、まず後ろに「ということは」を機械的にくっつけてみるといいことが多いです。
  • 「あんずより梅が安いっていうじゃない」に続けて「アルバイトっていうのはインド語で労働って意味なのよ」と、ことわざ以外にも手を出す美奈子ちゃん。そのうちドッジは古代インカ語でとか言い出しそうだ。※蛇足ですが椎名貴志『乱破S.S.』です。
  • 「インドとあたしとどういう関係があるの」と、アホに典型的な視点で追及するうさぎを、「うさぎちゃん違うわ、ドイツ語よ」とズレた視点でなだめる亜美ちゃん。誰一人まともな人がいない。
  • ゴールデンミラーを探しに成人式会場を訪れてうさぎたちと鉢合わせするアマゾネス。おたがい誰あいつら?ですが、ゲーセンで会ってませんでしたっけ? 第150話でうさぎとちびうさはアマゾネスと言葉を交わしてます。ちびうさなんかベスベスからサーカスのチケットをもらっています。お互いものすごい特徴的な髪型なんだから覚えとこうよ。
  • 作業中のみんなのところに現れる猫3匹。「ちょっと冷やかしにね」とアルテミスが暇そうなことを言っていますが、敵組織の調査とかがお前らの仕事じゃないんかい。ルナはまだ第156話で妖魔探しをしてましたが、アルテミスはそんなだから前回まで5話連続出番なしとか冷遇されるんだぞ。ダイアナなんかSSから参戦なのに7話連続出てこなかったんだぞ。
  • そういえば、会場の外で出てきた、美奈子ちゃんを悪徳ブローカーの道に引きずり込んだハンサム三人組。この三人はここにしか出てきませんが、よく聞くと声をアルテミスが当てています。もしかして、この脇役のバーターで呼ばれたんじゃないのか?
  • 結局、アルテミスが美奈子ちゃんの「孫の手も借りたい」にツッコんだだけで、ジュンジュンの「伊達にサーカスには出てないってね」に「怪しいやつらって訳じゃなさそうだな」と警戒を解いてしまって3匹の仕事は終わり。ずいぶんと物語の隅っこに追いやられてしまいました。
  • 飾りつけのバランスの悪さをスパコンで分析する亜美ちゃん。SSでは初使用です。
  • 大人になるのを否定するアマゾネス。「ゆめゆめ疑うことなかれ、夢見る子供の夢の夢」。これ初登場の第150話でしつこいくらい繰り返したので毎回言うのかと思って覚えておいたら一切出てこないので無駄かと思ってました。その第150話では、大人になることに否定的な発言も最初からしています。
  • 大人になりたいか、うさぎたちに個別に聞き取るアマゾネス。なにか得ようとしたのかも知れませんが、結局否定して自説を強化するだけ。この辺のこだわり、今後の話で活かされていくんでしょうか。
  • 新成人相手に仕事を始めたアマゾネスの前に現れる6戦士。もともと引きの絵をアップから始めるとき、顔の描き方が結構ぞんざいなのが面白いです。
  • ビリビリ野郎が食い過ぎにつきダウンで、言い争いになる4人を眺める6人。今回、手前の人と奥の人で明るさが違うカットがいくつかあります。ジュピターなんか手だけ明るい。何かの映像効果なんでしょうか。
  • 今回は6人と4人で直接対決の追いかけっこ。マーキュリーとマーズとジュピターの技は止め絵1枚で、ヴィーナスだけバンクをフル流し。やっぱり、「ヴィーナスが一人で目立つと敵の止め絵が入る」という謎の法則。二股の第141話、バザーの第154話以来の発動です。
  • 隠れたパラパラを見つける親子。見上げるアングルを利用したセーラームーンのレオチラ。第138話の空中ブランコでも同じ作画監督で同じようなことをやってます。
  • 「夢多き未来を信じぬ心貧しき者たちよ、戦いをやめ、平和の中に明日への希望を見出すがよい」と長めのタキシード仮面。「パラパラ意味わかんない」「自分でもよくわかってないんですわ」というツッコミに狼狽を浮かべつつも「時勢は隠せん。今だ」と先に進めますが、これどういう意味なんだろう。とにかく、子供にこだわるアマゾネスと、いつも未来のためがモットーのセーラー戦士との対比を明確にする、大事なセリフではあります。
  • 成人式再開後に4人がいないのに気づいて、「お友達になりたかったのにね」とちびうさに語りかけるうさぎ。仲良く協力し合って汗を流したとはいえ、大人の夢を結構馬鹿にしてきた相手に対してこれです。このくらい能天気もとい包容力がないとクイーンなんか務まらないのかも知れません。そしてそのノリを吹き込まれるスモールレディ。クイーンがこの子をわざわざ過去のアホな自分のところに送り出したのもうなずけます。